「芸は身を助ける」は本当でした。

058d4106aafb5ac942e1083b47416c57_s

 

小さいころから本を読むことが好きでした。

 

小学校に入学して図書室を利用するようになると、読み切れないほどの本に囲まれて働く職業があることに驚き、自分も将来は本に囲まれて働きたいと思い図書室の先生にどうしたら働けるのか聞いてみたところ、「司書」という資格が必要だと教えてくださいました。

 

中学・高校と進学していっても相変わらず学校の図書室に入りびたり、地元で一番大きい公立の図書館にも足しげく通って絵本から専門書まで気の向くままに読み漁っていました。

 

大学受験の際は、司書の資格を取得できる大学を選んで進学し、無事に資格を取得することができました。

 

特に難しい試験などはなく、単位が取得出来れば誰でも得ることができる資格なので自慢にはなりませんが、後に取得しておいて心底当時の自分に感謝しました。

 

それは、正社員で入社した地元の企業で人生でほぼ初めてと言っても過言ではない、人間関係の難しさに悩まされたからです。

 

司書の職は募集数が非常に少なく、大学卒業時には1件もなかったので、最初には全く考えていなかった接客業への就職でした。

 

研修時は上手くいっていた周囲との関係も、正式に配属された部署の上司とは徹底的に合わず、こちらの失敗を喜々としてあげつらうような態度が常態化しており、それにこちらは委縮してさらに失敗してしまうというまさに悪循環の日々でした。

 

同僚にも散々迷惑をかけるし、何より体調が次第に崩れていったので思い切って転職しようとハローワークのサイトを検索したところ、小さな図書館の司書の募集が出ていたのですぐに応募し、合格をいただけて働くことになりました。司書資格が必須の募集でした。

 

 

勤めていた会社の親しい人たちにその旨を伝えたところほぼすべての人に「あなたにはそちらの方が合っている」と言われてしまったので、いかに周囲に迷惑をかけていたのか思い知らされました。

 

いざ図書館で仕事を始めてみると思いがけないことの連続で驚く毎日でした。

 

静かな館内で貸し出し返却の業務をして、あとは整理整頓していればいいというイメージを勝手に抱いていましたが、そんなわけもなく重い本の整理で結構な重労働、埃が溜まるので掃除で手は真っ黒、図書館に来る人がすべて優しく穏やかなわけではなく理不尽なクレームがバンバン来るなどと、意外だった点を挙げればきりがありません。

 

しかし、地元では誰もが知る企業を辞めての転職でしたが、後悔はしていません。

 

今まで本を読むことで得た知識がふとした時に役に立って利用者さんに感謝された事はとても嬉しく、上司や同僚に失敗したら叱られ成功したら褒められるという毎日を過ごすうちに、以前勤めていた会社では人間扱いされていなかったのだと思い至って、あのまま勤めていたらどうなっていたのかと思うと背筋が凍る思いです。

 

「芸は身を助ける」は本当だと思いました。

 

コメントを残す