給料の半分が下着に。

数年前に某下着屋さんで働いていました。

 

初任給が一般の人よりも高めだったのでつい惹かれて入社してしまったのです。

 

同時入社の仲間が10人ほどいました。ずいぶんたくさんの人をとる景気のいい会社なんだという印象でした。

 

実際にその下着屋さんには私も客として訪れたことがあって、 少々販売トークが強引ではありますが、販売しているものは確かなものだったのでたまに利用していました。

 

入社してすぐに社長と食事をする機会がありました。ランチで湯葉が出てくるような高価そうなお店でした。社長もとても穏やかな人で、楽しく働けそうだなとその時思っていました。

 

ほどなくして研修が始まりました。下着の勉強はもちろん、正しいサイズの測り方、フィッティングのお手伝いの仕方などを学びました。

 

スタッフ同士、下着姿のままで受ける研修は傍から見れば異様なものかもしれません。

 

1ヶ月ほどで各店舗に配属になりました。どこのお店も五十歳以上のベテランの販売員さんが多かったのが驚きです。ちょうど働き盛りの中間の年齢層の人がいないのが少し気になりました。

 

初日から売上ノルマが与えられました。私はたまたま羽振りのいいお客さんに着くことができ、いきなり10万の売り上げをあげることができました。

 

このことは大きな話題となり、翌日には他の店の同期から「すごいじゃん。 有名な話になってるよ。」とメールが来たりしました。

 

しかし翌日からは、身の丈に合った数字が続きます。そのうち先輩からの目も厳しくなりました。

 

ブラジャーだけ売れば、どうしてセットのショーツを売らなかったのか?セットで売れば、 どうしてキャミソールも一緒に売れなかったのか?など執拗な質問責めにあってしまいます。

 

先輩たちの中では強引に販売トークをする人も多く、お金がないからというお客さんに対し「いいよ待ってるから。おろしておいで。」と言う人もいました。

 

未成年の学生に対して高額な下着を売りつけて、後から親御さんからクレームが来たこともあります。

 

それでもそのようなやり方が、会社も容認している接客の仕方でした。

 

私はだんだんそのような販売スタイルに、疑問を感じるようになりました。中には好んで来てくださるリピーターの方もいましたが、下着が本当に好きな一部のお客さんだけです。

 

8割くらいのお客様は、何か良い下着あるかな?くらいの軽い気持ちで入店しています。いったい何人のお客様が、満足して帰っているのだろうと思うと、 やるせない気持ちになりました。

 

また私が一番おかしいなと思ったのは、「自分がつけてみないとわからない」という名目で、 毎月かなりの数の下着を買わされたことです。6~7万円毎月費やしていたと思います。

 

これならせっかく初任給が高くても、出費の方が多くて意味がありませんでした。

 

同期の中でも、 続々と辞める人が増えていきました。私も辛かったのですが、先輩がたも毎日ノルマに追われているので、相談できるような雰囲気ではありませんでした。

 

殺伐とした雰囲気と、相変わらず強引な販売、毎日の多額の出費で、私も逃げるような形でその会社を退職しました。

 

退職の挨拶に、社長は顔を合わせてくれませんでした。当然なことかもしれませんが、一度にたくさんの新入社員を採用すること、 ベテランの販売員で占められていること、すべてが後になって納得することばかりでした。  

 

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